同性愛に厳罰を科しているウガンダ、マラウイ、ケニヤ各国の国境と接しているタンザニアでも、LGBTフレンドリーとはほど遠い現実があり、実際、同性愛は違法行為で、終身刑を科される。
先月、タンザニアの厚生労働省は国内での性行為用ローションの販売を禁止、男性同士の性行為が減ることを期待しての措置とのことだ。
その一方で、タンザニア北部の人里離れた村では、女性同士の結婚が人気を博している。
羊の放牧を行い、タンザニア北部に推定70万人ほどいるクリャ族では、長期に亘る伝統で女性同士の結婚が許されている。
マリクレール誌によると、クリャ族の女性は夫がいない場合、資産や財産を所有し続けるために同性婚を行うそうだ。同性婚を行うことで、独身でいるよりも権力や自由を満喫する機会が多くなるそうだ。
女性同士の結婚は部族内では特別視され、何年にも亘り存在する新たな家族制度と言える。
女性同士の同性婚がいつ始まったかは定かではないが、由来を遡ると、未亡人が財産を所有し続けるために始まったのではないだろうか、とのこと。
クリャ族の戒律では、男性しか財産を相続出来ないため、息子のいない女性が未亡人になる、あるいは夫が何らかの理由で婚姻関係を解消した場合、女性との結婚を選択することが出来る。
同性婚をした女性らは、他の既婚夫婦と同じように家族生活をおくれる。つまり、生活を切り盛りし、働き、子供を育て、寝食を共にする。しかしながら、同性婚をした女性同士で性行為を行う事はない。
同性愛が厳しく禁じられているため、西欧諸国のような同性婚とは慣習事情が大きく異なる。クリャ族の人たちは、世界の他の国で同性間での性行為が存在しているとは知らないだろうし、クリャ族の同性婚を行っている女性は、部族法で男性の愛人を持つことが許されている。その結果妊娠すれば、その子供は同性婚関係にある女性2人の子供と認められる。